東京高等裁判所 昭和30年(ネ)1504号 判決
静岡銀行
控訴人らが本件十通の約束手形を何れも控訴人静岡洋服商工業協同組合連合会にあてて振り出し、同控訴人連合会は右各手形を何れも支払拒絶証書作成義務を免除して被控訴人に裏書譲渡した結果、右各手形の所持人となつた被控訴銀行が各満期日にこれらの手形をその支払場所に呈示してその支払を求めたが何れもこれを拒絶されたことは当事者間に争がない。
被控訴銀行は、控訴人協同組合連合会を除く各控訴人が昭和二十四年七月一日被控訴銀行に対し、控訴人連合会の被控訴銀行に対して負担すべき手形上の債務を金五百万円を限度として控訴人連合会と連帯して保証するとともに、控訴人等が右債務の支払を怠つたときは金百円につき一日金四銭の割合による損害金を支払うことを約したと主張し、一部の控訴人はこれを否認するが、証拠によつて按ずれば、結局右連帯保証及び損害金支払の約定の成立は当事者間に争のないものとみなすべきである。
ところで当審における控訴人等の抗弁について按ずるに、証拠を綜合すれば、前記連帯保証契約においては、控訴人連合会を除くその余の控訴人等は控訴人連合会が昭和二十四年七月一日から昭和二十五年三月三十一日までの期間内において手形割引又は手形貸付によつて被控訴人に対して負担する現在並びに将来の債務のうち金五百万円を限度として控訴人組合連合会と連帯してその保証の責に任ずるものであり、従つて右期間内において限度を超えた貸付がなされても、昭和二十五年三月三十一日当時における債務であれば、現に残存するもののうち金五百万円までは控訴人等において控訴人連合会と連帯してその支払の責に任ずる趣旨であることが認められる。而して本件記録を精査しても、被控訴銀行の控訴人連合会に対する手形割引又は手形貸付による債権額については、金五百万円を限度とする旨の約定があり、或いは被控訴銀行が同控訴人連合会に対し手形割引等をなすに当つては、連帯保証人たる控訴人等の承諾を得るか又は同控訴人等において右手形割引などの事実を知つていることを要する旨の定めがあつたものと認めるべき証拠はないし、又右手形割引等についてはその都度保証人の承諾の下にこれをなすべき銀行取引上の慣習が存在するものとも認められない。従つて以上の事実関係に徴すると、控訴人等は、昭和二十四年七月一日から昭和二十五年三月三十一日までの間において貸付を受けた控訴人連合会の債務が右期間満了の際残存する限り、たとえその後の弁済等によつて右債務が一部減少したとしても、結局現に残存する債務につき金五百万円を限度としてその支払の責に任ずる趣旨であつて、控訴人等主張の如く、貸付額中前記限度額を超過した額は保証人との関係においては初めから存在しないものとみるものではないといわなければならない。
従つて被控訴銀行が本訴において請求する控訴人等振出にかかる本件十通の約束手形の手形金合計三百九十三万五千三百六十四円及びこれに対する遅延損害金については、控訴人等は控訴人組合連合会と連帯してその支払に任じなければならないとして、これを棄却した。